予防接種とは、病原体の毒性を弱めたものをあらかじめ接種し、人口的に免疫をつくることで伝染病の発生や流行を予防することです。つまり、軽くその病気にかからせておけば、二度とその病気にかからない、または、かかっても症状が軽くてすむことから予防接種を受けるのです。
だからと言って、とにかく手当たり次第予防接種を受ければ良いというわけではありません。予防接種を賛成する人もいれば反対する人もいます。何故、反対する人がいるかというと、それは予防接種の副反応を懸念しているからなのです。
予防接種の副反応とは、予防接種後まれにみられる症状で、軽いものなら発疹や発熱がでたり、重いものは神経症状やショック症状など後遺症が残るケースもあります。そのため昔は「予防接種を受ける義務」という考え方だったのが、現在では 「予防接種を勧める」という考え方に変わり、予防接種を受けるかどうかは本人、または親が責任をもって判断しなければならなくなりました。
さて、一言で予防接種といっても予防接種には様々な種類があります。法律によって定められている「定期予防接種」は対象年齢で接種した場合、公費負担となり、希望者だけが接種する「任意予防接種」は、自己負担となります。また、予防接種のワクチンにも種類があり、生きている病原体の毒素を弱めたものを接種する「生ワクチン」、病原体の毒素をなくし免疫力を残した「不活化ワクチン」などがあります。「不活化ワクチン」は「生ワクチン」より効果が弱いため、数回予防接種する必要があります。
予防接種後は副反応の可能性がありますので、30分は予防接種会場にとどまり様子をみましょう。その時は大丈夫でも「不活化ワクチン」の場合は予防接種後1〜3日、「生ワクチン」の場合は1〜3週間の間は予防接種後の様子に気をつけてください。「生ワクチン」の場合、次の予防接種までには最低4週間以上あけます。「不活化ワクチン」の場合は次の予防接種まで最低1週間以上あけましょう。
ポリオとは「小児マヒ」と呼ばれ、ウイルスが口から入って腸管で増殖します。感染しても、ほとんど症状は出ませんが症状が出る場合、最初に風邪のような症状や熱が出て、次に頭痛や嘔吐などの症状があらわれ、麻痺がでてきます。日本では1960年ごろに流行した病気ですが、現在では予防接種のおかげで自然感染の報告はなくなっています。しかし、発展途上国では現在でもポリオが発生しています。これらの国を訪問した日本人が感染したことに気付かず、日本にポリオウイルスを持ち帰ってしまう危険性もありますので、是非とも受けておきたい予防接種のひとつです。
ポリオの標準的な予防接種年齢は生後3〜18ヶ月で生ワクチンをスポイトで飲ませます。ポリオウイルスには1型、2型、3型と3つのタイプがあり、1回の予防接種では充分な免疫がつかないタイプがあるため、予防接種を2回受けることになっています。下痢をしているときは予防接種を見合わせましょう。
ポリオワクチンは毒素が非常に弱められているため、安全なワクチンですが、予防接種で極めてまれな頻度で麻痺をおこす副反応が出る場合があります。
BCGは結核を予防するためのワクチンです。赤ちゃんが結核に感染すると、抵抗力が弱いため結核性髄膜炎などになることがあり、これらの病気は重い後遺症を残すことがあります。日本での結核発症率は、他の先進国に比べて非常に高いため、予防接種を受けておくことをお勧めします。
BCG予防接種はスタンプ方式といって、生ワクチンを上腕の2箇所に押し付けて予防接種します。少し前までは、まず過去に結核に感染したかどうかをツベルクリン反応で検査し、陰性の場合、つまり過去に結核にかかったことがない場合はBCGの予防接種を行っていました。ところが、平成17年4月から結核予防法が改正され、ツベルクリン反応なしで、直接BCGの予防接種をするようになりました。予防接種の標準年齢も生後3ヶ月〜12ヶ月だったのに対して、現在では生後3ヶ月〜6ヶ月の間になっています。
BCGの副反応は、予防接種した側の脇の下のリンパ節が腫れたり予防接種箇所が化膿してうみがでることがあります。重い副反応は見られません。
麻しんとは「はしか」とも言われ、発熱・咳・発疹などが見られる病気で、まれに脳炎などの合併症を起こす可能性もあります。麻しんは1歳から2歳の間にかかることが多くみられるため、1歳を過ぎたら早めに麻しんの予防接種を受けるようにしましょう。麻しんの人に接触した場合、1〜2日以内に予防接種をうければ発病予防ができますが、兄弟姉妹が麻しんになった場合、潜伏期間中に感染していることもありますので、予防接種は間に合わないでしょう。
麻しんの予防接種の標準年齢は12ヶ月〜24ヶ月で、上腕部に生ワクチンを注射します。ガンマグロブリンの注射を受けたことがある人は、その影響がなくなる3ヶ月〜6ヶ月間は予防接種を延期しましょう。
麻しんの予防接種の副反応は、予防接種を受けた1週間後に発熱や発疹などの軽い麻しんのような症状がでることがありますが、2〜3日で自然と消えます。周囲の人に感染させることはありません。極めてまれですがこの予防接種で脳炎などの副反応がでることもあります。
DPTはジフテリア・百日ぜき・破傷風の3種類の病気を防ぐ予防接種です。ジフテリアは、喉の痛みや嘔吐などで、神経麻痺などの合併症をおこすことがあります。百日ぜきは、普通の風邪のような症状から連続的に咳き込むようになります。肺炎や脳症などの合併症をおこすこともあります。破傷風は、土の中に菌が潜んでいて傷口から人へ感染する病気で、痙攣をおこしたり死亡することもあります。特に破傷風は自分で気付かないくらいの軽い傷口から菌が入り、まして土に触れる機会も多いので、是非とも予防接種を受けておきましょう。
DPTの予防接種は不活化ワクチンのため、1期と2期に分け、合計5回の予防接種が必要です。1期では、予防接種の標準接種年齢が生後3ヶ月〜12ヶ月で3〜8週間隔で3回の予防接種を受けます。その1年〜1年半後に追加で1回、そして2期では標準年齢が12歳のときに二種混合として1回、予防接種を受けます。
DPT予防接種では重い副反応はなくなっています。予防接種した部分が赤く腫れたり、しこりが1〜2ヶ月残ることはありますが、自然に治ります。